お知らせ

千葉市における長期入院者の現状と地域移行

 長期入院患者とは、入院期間が1年以上経過している患者様を指しますが、平成30年度

 で千葉市での精神科病院長期入院患者様は約500人いるそうです。

千葉市も含めて長期入院者の地域移行と定着を促すために、国の事業としていろいろな施策が行われていますが、思ったより地域移行が進んでいないのが現状です。

 

1人1人いろいろな要因があるのですが、主な原因は2つ考えられています。

1つは長期入院による社会生活への適応性の喪失です。

入院生活が長引くと、金銭管理や役所での手続き、公共交通機関の利用など、精神症状や

行動制限により自分で行うことが困難になります。

そうした状況を支援するためにソーシャルワーカーがいるのですが、何でもやりすぎる

と本人の能力を奪うと同時に、他者に対する依存を招いてしまう可能性があり注意が必

要となります。

 

もう1つは地域の受け皿や体制の不足になります。

千葉市で10年以上精神保健福祉の仕事をしてきましたが、精神科グループホームや 精神疾患にも対応した訪問看護ステーションの数は確実に増えていますが、長期入院の患者様を受け入れるにはまだまだ足りていません。

それと地域で暮らす患者様を支えるマンパワーはもっと足りていません。

 

専門職も頑張ってはいますがそれだけでなく、もっと身近なインフォーマルな社会資源の協力が不可欠であると考えられていて、具体的には隣近所の方や民生委員の方がそれに該当します。

 

ですが、昔も今も「精神障害者は危ない」「自分には関係ない」といった考えはあまり変わっていません。

 

昨年度千葉市における地域移行を促進するために、地域の方の精神障害に対する理解を深めることが必要と考え、各区で地域住民を対象とした勉強会を実施しましたが、参加者は実際に患者様を抱えている家族がほとんどでした。

 

どうしても自分には関係ないと思うテーマで、積極的に参加しようと思われないかもしれないとの反省の元に、今年度は市民の皆さんも参加しやすいようなテーマや内容を提供できればと考えております。

 

各区の会報に勉強会の予定を載せていく予定にしておりますので、ぜひご興味がある方のご参加をお待ちしております。

医療法人グリーンエミネンス 

中村古峡記念病院 看護部 地域連携課

小熊一郎